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​「この文字こう出す®カード」

フォニックスと発音

~制作者の想い③~

​フォニックスとは、

「この文字この音」というルールのこと。

「こう出す」という発音方法のことではない!

 

英語のアルファベットは、日本語のひらがなとは違い、その文字の名前と、声に出して読まれる音とが、必ずしも一致しません。

例えば「あ」の場合、その文字の名前は「あ」ですし、声に出して読まれる音も「あ」です。単純!簡単!

 

しかし例えば「A」は、その文字の名前は「エィ/eɪ/」で、声に出して読まれる音は多くの場合「ア(エみたいなア)/æ/」です。名前と音が一致していません…。

日本の児童英語の世界では、このことを「Aの名前読みはエィ/eɪ/で、音読みはア/æ/」のように言ったりします。

この音読みを集めて、Aア/æ/、Bブ/b/、Cク/k/、Dドゥ/d/…と読み上げる練習をすることもあります。このことから「アブクドゥ読み」と呼ばれることもあるようです。

なるほど「エィ・ビー・スィー・ディーと、ア・ブ・ク・ドゥと、アルファベットの文字には名前と音の2つがある」ということか!…で済めばよいのですが、話はそう単純ではありません。

 

例えば、前述のCク/k/は、Cス/s/という音で読むことも多いのです。また例えば、前述の通り「A」は多くの場合「ア(エみたいなア)/æ/」であって、必ずではないのです。

どの文字が、どういう場合、どんな音で読まれるのか?というルールのことをフォニックスと言います。ここまで読んでおわかりいただけるように、意外と複雑…。

しかし、このフォニックス通りの英単語は全体の7~8割(諸説あり)にのぼるとも言われていますから、フォニックスが身につけば、初見の単語であってもだいたい音読できるし、聴いただけでだいたいスペルも書ける、ということになります。

英語圏では小学低学年の頃に習うこのフォニックス。近年では、日本の英語教室や塾などでも注力するところが増えています。

 

しかし、フォニックスとは「この文字この音」というルールなだけで、「こう出す」という発音方法は含んでいないということには注意が必要です。「フォニックスとは発音のこと」「フォニックスを学べば発音がきれいになる」というような話をしばしば耳にしますが、それはちょっと残念な誤解です。

 

​英語には、日本語には無い音がたくさんあります。「この文字この音」というルールだけを覚えても、「この音」を知らないのですから、「どう出す」のか学ばなければ、活用することができません。

「ここカード」で、「この文字この音」というルールと、「こう出す」という発音方法と、両方とも身につけてくださいね。

sea(海)と she(彼女)

sink(沈む)と think(考える)

bug(虫)と bag(カバン)

「この文字 こう出す」が分かれば

聴き分けられるようになります♪

言って通じるようになります♪

さらに

単語暗記がラクになります♪

スペルも正確になります♪

​​sink(沈む)も think(考える)も、「シンク」ではありませんよね。音が全く違いますし、その音とつながっている文字も違います。

「sink と think は、語頭が/s/と/θ/だから完全に別の音。/s/って聞こえたら s って書くし、/θ/って聞こえたら th って書く」

…​という感覚になれたら、聴き話し、読んで書くのが、断然ラクになりますね。

こんな感覚で音を聴き分けられ、また瞬時に文字とつなげられるようになるには、どうしたら良いのでしょう?

人は、自分で発音できない音は、聴き分けるのが難しいと言われています。カタカナ発音の原因の一つは、ここにありそうです。

 

sink も think も「シンク」としてしまうのは、/s/と/θ/の音が出せないから、自分が出せる音「シ」に置き換えてしまうと考えられます。

ですから、まずはその音を出せるように、発音方法を身につけましょう。前歯のごく狭い隙間から勢い良く息を出す/s/と、上前歯と舌先との隙間から息を出す/θ/とが、きちんと出し分けられるようになりましょう。

 

聴いて分からないものを、ただ何度も聴き続けることに時間を使うのではなく、まず出し方を覚えてそれを練習してみてください。出し分けられることが、聴き分けられることにつながっていきます。

そして、/s/と出しながら s の文字を見る(書く)。/θ/と出しながら th の文字を見る(書く)。繰り返すうちに、文字と音とがつながってきます。

​「ここカード」なら、絵を見ながら音を出し、裏返せばその音とつながっている文字を確認することができます。発音と文字とをしっかりつなげてくださいね。

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